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デジタル読解力とPISA・OECD

経済協力開発機構(OECD)が、2009年に実施した学習到達度調査(PISA)から判明した、「デジタル読解力」に関するデータを発表しました。対象は19カ国&地域の15歳の生徒たち。

15歳の「デジタル読解力」、日本は4位 OECD調査  :日本経済新聞

「デジタル読解力」とは何でしょう?日本経済新聞の上記記事によると、次のようなものらしい。

パソコンを使い、インターネットサイトのリンクをたどって情報を収集・評価・分析する力などを調べた。具体的には「ボランティア活動を志す少女のブログを読み、少女に適した活動をリンク先から探し出してメールで教える」といった課題が出された。


要するに、「ネット・リテラシー(ウェブ・リテラシー)」ということですね。

2年ほど前に、「ネット・リテラシー(ウェブ・リテラシー)」について記事を書いたので、興味のある方はそちらもご覧下さい。

「ウェブ・リテラシー」と「読み書きそろばん」:国語塾・宮田塾のブログ

順位なんてあまり大した意味があるとは思いませんが、日本は4位。1位韓国、2位ニュージーランド、3位オーストラリアに続いています。韓国はネット大国ですから、さすがという感じですね。実際、2位のニュージーランドに大差を付けています。



さて、日本のニュースをなぞっているだけではあまり面白くありません。ここは当塾らしく、OECDから発表された一次ソースを見て、興味深い点をいくつか指摘しておきます。

デジタル読解力に関するPISA2009年調査結果 エグゼクティブ・サマリー

<ポイント1>
大半の国において、デジタル読解力の調査結果とプリント読解力に関する調査結果が、おおむね一致していたという点。

デジタル情報を読み取る力も、結局は「読解力」ですから、プリントを読み取る力に比例するのは、当然と言えば当然でしょう。やっぱりここでも「読解力」が大きな意義を持っています。

<ポイント2>
「ウェブソースの情報を評価し、その内容の信用性と有用性を測定し、自律的かつ効率的に膨大なテキストの海をナビゲートすることができる」というレベルに到達している生徒の比率が、国によってかなり異なる点。

上位3国(韓国・ニュージーランド・オーストラリア)には、上記レベルに達している生徒が17%以上いるとのことなんですが、逆にコロンビアについては、生徒の約70パーセントがレベル2以下と判定されています。このレベルの生徒については、「21世紀における教育、雇用、社会参加の機会に完全な形でアクセスすることができない」との評価が下されています。

厳しい事実ですが、デジタル・デバイド(デジタル格差)は、経済的地位・社会的地位の格差につながるということを正直に述べていて、私としては好感が持てます。

<ポイント3>
生徒の読書に対する態度とその社会経済的背景や移民であるかどうかが、プリント読解力とデジタル読解力の両方に同じように関係している点。

大半の国で、読書に最も熱心な生徒と最も熱心でない生徒の読解力の平均得点差は88点にも達する。平均すると、読書に最も熱心でない生徒がデジタル読解力で悪い成績をとる可能性は読書に最も熱心な生徒より2倍高い。


読書量がプリント読解力と大きな関係を持っているのは事実だと思いますが、デジタル読解力についてもまた然りということですね。何度かこのブログでも書いていますが、「読書をして損することはほとんどない」ということは強調しておきたいところです。

<ポイント4>
自宅でのコンピュータ利用はデジタル読解力の成績と関係しているが、学校でのコンピュータ利用は必ずしも関係していない点。

この点には特に興味を惹かれました。丁寧に引用してみます。

生徒の学力を考慮すると、自宅でのコンピュータ利用度、特に余暇のためのコンピュータ利用度はナビゲーション技能やデジタル読解力の成績アップと正の相関関係にあるが、学校でのコンピュータ利用度はそうではない。これらの調査結果は、生徒は主に自分の興味を追求するために自宅でコンピュータを利用することでデジタル読解力を発達させている、ということを示唆している。


好きこそ物の上手なれ、学校でいくらコンピュータを利用させてもダメなんだよ、自分で興味をもってコンピュータに接しないと読解力(ネット・リテラシー)は高まらないんだよ、ということですね。

ご家庭によっては、反対のお考えをお持ちのところもあるでしょうから、考えを押しつけることはしませんが、個人的には、幼い頃から家庭内でコンピュータなどのデジタル製品にどんどん触れさせてやる方がよいと考えています(それが21世紀だ)。

上記の結果は、家庭内でデジタル製品を活用し、子供に触れさせることの意義を明確に示しているように思います。

<ポイント5>
教育システムの質が教師の質を超えるということはあり得ないという点。

これは上記とは違うソースから補足的に。OECDの教育関連分析担当者による説明映像です。すみませんが、日本語訳はありません。



最後の方に出てくる話が、とても興味深い。2:26のあたりです。Good teachers = Good results? という部分なんですが、「教育システムの質が教師の質を超えるということはあり得ない」と述べています。教師の質によって教育システムの質は決定される、と言い換えてもよいでしょう。

わが意を得たり!小規模な塾を運営する側からすると、「システム」なんて本当にどうでもいい些末(さまつ)なことなんですよね。「教える・教えられる」という営為って、結局は教える人の能力や創意工夫、それから教えられる人の能力・熱意によって、すべてが決まると思うのです。

塾の話になりますが、講師の質を保てないところほど、「画期的なシステム」とか「コンピュータによる学習システム」なんてことを謳う傾向があるように思います。「システム」で学力が向上するなら、苦労しません(笑)。この話は、また別記事で広げてみたいと思います。



色々と興味深いテスト結果なんですが、子ども達が「教育、雇用、社会参加の機会に完全な形でアクセスすることができない」という事態に陥らないようにすることがとても大切だと思います。

これについては、国や学校の責務という面もあるでしょうが、ポイント4で示したように、実質的には家庭教育がもっとも重要な鍵を握っているということになるでしょうね。




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