宮田塾のブログ

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貧困・格差を考える

今日はちょっと硬派な話題です。

古文などを読んでいてよく思う事なんですが、平安時代に栄華を極めた貴族といっても、現代人の目から見ると、その生活レベルはかなり低いものではないか。木や紙でできた住居。空調機器がないので冬は死ぬほど寒く夏はうだるように暑い。極めて粗末な食事。上下水道もなし。入浴はほとんどしない。衣服はいつも同じ物。移動も限られた場所だけ。

そんな状態でも、庶民はもちろん、貴族自らも、「贅沢な暮らし」だと考えていたと思うんですよね。栄耀栄華を極めた藤原道長は、「この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」なんて自信満々イケイケな和歌(笑)を遺していますが、これはその証拠でしょう。

もう少し後の時代の権力者、源頼朝、豊臣秀吉、徳川家康などを考えても同じ事が言えます。贅沢好みの秀吉でも、一般的な現代人の生活レベルからすれば、かなり低めの生活条件下で暮らしていたんじゃないでしょうか。それでも、当時の彼らは、今をときめく権力者として「リッチな暮らし」を満喫していると考えていたはず。



現在、日本社会でも「貧困」という問題が、徐々にクローズアップされつつあるように思います。生活保護受給者の増加、ワーキングプアの増加といった問題はその一例。

しかし、生活保護受給者やワーキングプアが、絶対的な貧困に喘いでいるのかというと、そうではないという気がします。生活保護などの社会保障制度を活用できる最低限の知識があれば、食べてゆくことが出来ずに餓死するというおそれはありませんし、客観的な生活レベルだけで考えれば、栄耀栄華を極めた平安貴族をはるかに上回っているわけです。

とすれば、この日本社会を前提にする限り、「貧困」というものは、絶対的なものではなく、相対的なものなのではないか。つまり、自分より良い暮らし・楽な暮らしをしている者がおり、それらの者に比較すれば良くない暮らし・苦しい暮らしをしていると感じられる状態、リッチ層に対して経済格差を感じる状態が、「貧困」と呼ばれるものの正体なのではないか。

こんなことを書くと、「貧困なんて甘えだ、別に苦しいことでも何でもない。昔の貴族と比べりゃ結構リッチな暮らしをしてるんだから、我慢しろ」と捉えられてしまうかもしれません。

私の考えはむしろ逆です。現在の「貧困層」が昔の貴族階級に比べてはるかにリッチな暮らしをしているという話で、彼らに充ち満ちている不満感・不公平感・不信感が解消されるはずはありません。

「貧困層」の抱える不満感・不公平感・不信感、言い換えれば、経済格差や社会格差を感じる心理、これこそが社会に大きな悪影響をもたらすのではないかというのが私の考えです。



上記のようなことを、副代表と時々話していたりしたんですが、つい最近、これに関する非常に優れた講演のビデオを、TED で発見しました。興味深い話をとてもわかりやすく解説してくれていますので、時間があれば是非。「国内総生産」なんかより「国民間の所得格差」の方が、社会に対してずっと大きな影響力を持っていること、日本社会が比較的暮らしやすいのは国民間の経済格差が小さいからだということがよくお分かりいただけるかと思います。

(TED とは、世界中の一流講師を呼んで講演会を開いている団体なんですが、これがまた有り難いことに、ネット上でその講演を公開してくれています。無料の上に、日本語訳まで付いているとくれば、文句の付けようがありません。私はよく、寝る前に布団の中にiPadを持ち込んで TED の講演・講義を見ているんですが、本当に素晴らしい時代になったものです。)

リチャード・ウィルキンソン
「いかに経済格差が社会に支障をきたすか」

所得格差の大きい社会はどういうわけか悪化していると私たちは直観的に感じています。リチャード・ウィルキンソンは信頼できる経済格差のデータを図表にし、格差が広がりすぎると健康や寿命、さらには信用のような非常に基本的な価値観などに対する実質的な影響が悪化するのだと説きます。
(TED | Translations | Talks in Japanese より引用)












個人的には、リチャード・ウィルキンソン氏の知見は正しいと感じます。ただ、今後、日本社会内における経済的格差は広がってゆくことも事実でしょう。この国にとって好ましいことだと思えませんが、時代の流れを押しとどめることは出来ません。

もちろん、悲観ばかりする必要もないでしょう。競争が待っているなら、逃げるのではなく、こつこつ力を蓄えてゆくしかない。これは私たちが塾で生徒達に(それとなく)教えているポリシーでもあります。

うん、最後は塾ブログらしくまとめられたかな(笑)。

<参考記事>
Welcome to the Jungle (ジャングルへようこそ):国語塾・宮田塾のブログ



下記のウェブサイトでは、日本語訳が付された TED における講演が見られます。オススメです。

TED | Translations | Talks in Japanese




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